盗聴法<組対法>に反対する市民連絡会 >
   

【衆参法務委員へのコンピュータ監視法にかかる要望書】

衆議院法務委員会
理事 黒岩 宇洋様

 

 

 

盗聴法(組織的犯罪対策法)に反対する市民連絡会
連絡先
日本消費者連盟気付
TEL 090-2669-4219
   
FAX 03-5155-4767
     
  ネットワーク反監視プロジェクト
TEL 070-5553-5495

 

 

 

2009年11月10日


常日頃のご活動に心から敬意を表します。これからも市民の視点で生活、環境、人権、平和を確立する政治を推し進めていただきたいと願っています。
私たちは、言論・結社の自由等の表現の自由が民主主義社会の実現、維持にとって必要不可欠なものと考え、そのために運動を展開している市民団体です。この間、インターネット監視社会をもたらすコンピュータ監視法に反対する運動などをすすめてきました。
コンピュータ監視法は成立してしまいましたが、法務委員会の議論のなかで、数多くの問題点が明らかになりました。それらは見過ごすことのできないものであり、その是正措置をとられることを求める要望書を提出します。なお、「検証令状による位置情報確認」については、コンピュータ監視法についての議論のなかで出された問題ではありませんが、市民のプライバシー権にかかわる重大な問題であり、あわせて要望します。

【要望事項】
1、検証令状による通信履歴のリアルタイム盗聴を行わない
2、検証令状による位置確認情報の収集を行わない
3、電子データの差押さえにあたっては、当事者に必ず事後通知を行う
4、通信履歴の保全数、電子データの差押さえ数等について、国会報告を行う
5、上記3、4、について立法化する

【要望理由】
1、検証令状による通信履歴のリアルタイム盗聴について
先の国会で江田前法務大臣は、コンピュータ監視法をめぐる質疑のなかで、検証令状にって通信履歴のリアルタイム収集を行うと明言しました。この答弁には大きな問題があります。日本の法律で電話、メールなどのリアルタイム盗聴を認めているのは1999年に制定された盗聴法しかありません。盗聴法は対象犯罪を四つの犯罪類型に限定しており、また適用要件も厳格に規定しています。しかし、通信履歴のリアルタイム収集については対象犯罪が限定されていません。通信履歴のリアルタイム収集を行うのであれば、盗聴法に則って行われなくてはなりません。盗聴法に則れば、通信履歴のリアルタイム収集は四つの犯罪類型に限定されなくてはなりません。
また、検証令状による盗聴の場合、事後通知がなく、不服申し立てをすることもできません。通信履歴のリアルタイム盗聴は重大な人権侵害で、違憲・違法です。江田前法務大臣の発言は撤回されなければなりません。

2、検証令状による位置確認情報の取得について
法務省・捜査当局は、いままで検証令状によって被疑者の所在地確認を携帯電話の無線基地局システムを利用することで行ってきました。それをこの11月2日から携帯電話のGPS機能(全地球測位システム)を使って行うことにしました。そのために総務省は、「電気事業における個人情報保護に関するガイドライン」の改正を行いました。
携帯電話の無線基地局システムを利用した被疑者の位置確認は、都心部では500メートル以内といわれているのに対して、GPS機能を利用したそれはピンポイントで携帯電話の場所を示すといわれています。位置確認の精度は携帯のGPS機能を使えば格段に高まります。
そもそも誰がどこにいるのかという位置情報は人の動きを示す重要な個人情報であり、市民のプライバシー権の根幹となる問題です。そうした重要な問題は、総務省の「個人情報保護に関するガイドライン」の改正というような小手先の方法によってではなく、国会における議論によって、個人の位置情報を探索することが許されるか否か、許されるとすればどういう条件、手続きが必要なのかを決めるべきです。
近年、通信技術等の発達は著しく、社会は位置情報という市民のプライバシーをどう捉えたら良いのかという問題を突きつけられています。国会での国民的議論が求められているのです。この問題を単なるガイドラインなどの改正で対応する法務省、総務省、捜査当局の姿勢は厳しく批判されなくてはなりません。

3、電子データの差押さえの事後通知について
近年のインターネットの発達のなかで、インターネットを通じての情報のやり取りは実に膨大なものになっています。いまやそれは市民の不可欠な通信手段です。
日本の刑事訴訟法は有体物の差押さえを前提としており、この電子データの差押さえについては規定がありませんでした。コンピュータ監視法は、この電子データの差押さえについて規定しましたが、実に重大な問題点を残したままになっています。
有体物の差押さえは、ほとんどの場合被疑者は押収品目録等で差押さえを知ることができますが、記録命令付差押さえでプロバイダーなど第三者管理の電子データを差押さえられた場合、事後通知の制度がないため当事者は差押さえの事実を知ることができません。本人が知らない間に、膨大な電子データが差押さえられるということは大変な人権侵害です。郵便局での被疑者の信書類の差押さえや、盗聴法における盗聴については当事者への事後報告が義務化されていることを考えれば、その問題性は明らかです。

4、通信履歴の保全、電子データの差押さえの国会報告について
通信履歴の保全については、コンピュータ監視法の法務委員会審議で、裁判所の発付する令状によってではなく、捜査当局の任意捜査として行われるので、権限が乱用されるのではないかという強い危惧が表明されました。その結果、附帯決議で通信履歴の保全要請件数などを数年間法務委員会に報告することが義務づけられましたが、この報告は政府による国会報告とすべきこと、対象を通信履歴だけではなく、電子データの差押さえも加えることを立法化すべきです。

  • 通信履歴の保全要請について、保全要請の件数、そのうち差押さえ許可状を請求した件数、保全要請の罪名、保全要請にかかわる通信手段、保全要請にかかる事件での逮捕人員数など。
  • 電子データの差押さえについて、差押さえの請求件数及び発付件数、このうち刑訴法99条の2又は同法110条の2によるものの件数、請求及び発付にかかわる罪名、差押さえにかかわる事件での逮捕人員数など。

政府は、以上について国会に報告するとともに、公表すべきです。

以上、国会で真摯に議論して、私たちの要望項目を実行されるよう切に求めます。