盗聴法<組対法>に反対する市民連絡会 >
   

【声明】
自衛隊の諜報活動に抗議する声明

盗聴法(組織的犯罪対策法)に反対する市民連絡会

2007年7月2日


自衛隊の情報保全隊が、イラク反戦活動に関わっている市民団体、政党およびその大衆団体、政治家、さらには取材活動などを行っているジャーナリストらの動向を詳細に監視し「イラク自衛隊派遣に対する国内勢力の反対動向」としてまとめていたことが明らかにされた。そればかりか、医療費負担の見直しや増税反対等の市民運動を監視し、その情報を系統的に収集していたこともわかった。

盗聴法(組織的犯罪対策法)に反対する市民連絡会は、今回の自衛隊情報保全隊による諜報活動を市民の政治活動、思想信条の自由、集会・結社の自由に対して干渉し、侵害する意図をもった違法な行動として断固として抗議する。

自衛隊の市民監視行動は、政治権力が市民を監視し、自由を抑圧する立法に反対し続けている私たちにとって到底見過ごすことはできない。しかもこのことは自衛隊が市民を敵視していることを暴露し、自衛隊は国民を守るものという政府の欺瞞と市民の幻想を砕くものであると考える。

そもそも自衛隊は戦争の放棄と戦力の不保持を謳った憲法の平和主義に違反する「軍隊」であり、軍隊とは市民を守るものではなく、それ自身と権力を守るためには市民に銃口を向けるものである。それは沖縄戦等の歴史が証明している。戦争による紛争の解決は人道に反するのみでなく、軍隊によって戦火が激しくなりまさることは世界の紛争地をみれば明らかである。
自衛隊は軍隊にほかならず、自衛隊の存在自体を私たちは認めることができない。

私たちは、まず情報保全隊の即刻解散を強く求めるとともに、政府・防衛省に以下の点を要求する。

(1) 情報保全隊による情報収集、監視、諜報活動の全容を明らかにすべきである。
(2) 情報保全隊による違法行為は誰の指示によっていつから行われていたのかも含め、その責任の所在を明確にすべきである。
(3) 情報保全隊が収集したすべての情報をすみやかに廃棄するとともに、これらの情報が他の組織や米国等に提供されているのであれば、その事実を明らかにし、外部に提供された情報についてもすみやかに廃棄処分されるよう対処すべきである。

【抗議声明のための背景説明】
私たちは、今回の事件の重大性を次のように考えている。

▼自衛隊は治安維持部隊としての性格をもっている
自衛隊・情報保全隊による諜報活動は、自衛隊の治安維持部隊としての性格が露呈したものである。自衛隊の銃口は、私たち、日本国内にあって反戦・平和運動にとりくむ市民たちにも向けられているということが、はっきりした。このことは、驚くべきことではない。軍隊は、自国民やその国に暮らす市民に対しても、敵国民に対して同様、治安維持を名目に銃口を向け、命を奪う存在である。このことは、今現在の世界中で起きている戦争やこれまでの歴史からみて決して例外的なできごとではない。

▼日米同盟と国内治安監視
イラク戦争が日米同盟によって遂行されてきたこと、また、日本国内に多くの米軍基地を抱えていることなどをふまえれば、今回の情報保全隊の活動は単に自衛隊だけの問題ではなく、同盟関係にある米国とも密接に連携をとって行われてきたものだと判断してよいだろう。とすれば、情報保全隊が収集したデータは米国とも共有されているとみていい。他方で、米国においても、国家安全保障局や中央情報局など、これまで対外的な諜報活動しかできなかった軍隊の諜報組織が、反テロ愛国法のもとで、国内での情報収集活動を公然と行うようになっている。こうして、「テロとの戦争」を口実にして、軍隊が秘密警察的な活動を実施する傾向が日米両国で進んでいる。現在の日米政府は、戦争の遂行を最優先し、そこで暮らす人々の思想信条も表現の自由も守ることはないという深刻な事態にある。

▼緊急事態法制と自衛隊の国内治安出動への危惧
国民保護法制に典型的にみられるように、緊急事態を想定した日本国内の治安維持法制の整備は、国内における米軍、自衛隊の自由な活動を保障しようというものだが、現行の緊急事態法制には、反戦平和運動など自衛隊や米軍に対して異議申し立てを行う団体や個人を規制する規定は存在しない。しかし、情報保全隊の情報収集は、緊急事態において特定の市民や団体の活動を規制したり禁じたり、あるいは逮捕拘留するといった超法規的な措置をとることを将来的に可能にするための事前の活動であるとみることもできる。今回の情報保全隊の活動は、緊急事態法制に戒厳令的な性格をもたせ、市民的な自由を奪う方向に改悪される危険性を示唆するものである。

▼共謀罪と情報保全隊の活動の接点
政府は共謀罪をテロ等謀議罪と改称して次期国会での成立を図るつもりのようだ。
この場合、共謀罪は一般刑事事件をターゲットにするのではなく、刑事司法におけるテロ対策立法という性格が明確になり、情報保全隊やその背後にある米軍による諜報活動の情報を得て、警察が共謀罪で立件するといったケースが十分に考えられる。反テロ治安立法としての共謀罪が成立すれば、今後ますます「軍隊」と警察の間の垣根を低くする条件が整い、しかも日米同盟のもとで国境を超えて、日米の市民的な自由を脅かす体制がとられる危険性がより具体的現実的なものとなるだろう。この意味で、共謀罪の成立は絶対に阻止されなければならない。

▼自衛隊はいらない
自衛隊は、どのような美辞麗句を並べようと、日米同盟のもとでの海外派兵を本来業務とする戦争のための組織であり、同時に、腐敗した政権をささえるための武装勢力であることを私たちは忘れてはならない。情報保全隊だけがいらないのではない、自衛隊それ自体がいらないのだということを今一度確認したい。