盗聴法<組対法>に反対する市民連絡会 > 【コンピュータ監視法の制定に反対します】>
   

【声明】
検証令状によるリアルタイム盗聴に反対します

 

2011年9月8日


盗聴法(組織的犯罪対策法)に反対する市民連絡会
ネットワーク反監視プロジェクト

 コンピュータ監視法は、国会が締結を承認したサイバー犯罪条約の要請によるものでもありますが、これをめぐる国会の審議で、当時の江田法相から驚くべき発言がありました。サイバー犯罪条約20条が、特に犯罪を限定することなく、通信の履歴をリアルタイム収集又は記録する国内法の整備を求めているのに対し、法文に明記しなくともこれ(盗聴)を検証令状によって行うというのです。これはリアルタイム盗聴を明文化したら、大きな反対運動が起こると恐れた法務省の卑劣なやり口と言うべきでしょう。
 本来「検証」とは事実発見のために場所、物、人の身体などの状況を調べる処分であり、通信を対象とするものではありません。検証令状によるリアルタイム収集(即時盗聴)とは、既に行われた通信ではなく、これから行われる通信履歴を盗聴するというものです。

 1999年に、世論の反対を押し切って盗聴法(通信傍受法)が制定されるまで、数件の盗聴が検証令状によって行われました。しかし、検証令状による盗聴については、盗聴された当事者への事後通知も不服申立ての規定も無いことなど、法律学者から強い批判が出されました。最高裁判決は検証令状による盗聴を認めましたが、盗聴法には通話当事者への事後通知、不服申立ての制度が設けられています。

 盗聴法は犯罪対象を限定して、電話、メールなどの盗聴を認めています。少なくとも盗聴法が制定・施行された以上、対象を限定しない検証令状による通信履歴のリアルタイム盗聴が認められてはならないはずです。ところが江田法相は通信履歴のリアルタイム盗聴を認めると言うのです。これが法相個人の発言でないことは、法務省の西川刑事局長が同じ発言をしていることからも明らかです。これは実に重大な問題です。

 日本で電話・メールの盗聴を認めた法律は盗聴法しかありません。盗聴法とは別に検証令状によるリアルタイム盗聴を認めることは、通信の秘密を保障する憲法と法を無視するものです。なぜ法務省はこんな違憲・違法なことを画策したのでしょうか。それは久しく法務省・捜査当局が念願してきた盗聴の対象犯罪の拡大、手続きの簡略化をここで実現しようとしたのに他なりません。

 私たちは、通信の秘密やプライバシーを侵害し、言論を抑圧する盗聴法の制定に反対し、その廃止を求める運動を進めて来ました。そしてコンピュータ監視法は、インターネット監視社会をもたらすものと考え、反対運動を展開してきました。コンピュータ監視法は2001年6月に成立してしまいました。しかし、政府・法務省・
警察が、コンピュータ監視法をテコに、盗聴を際限なく拡大しようとするのを許すことはできません。

 市民の自由な発言、発信が保障される自由な市民社会こそ、民主主義を確かなものにできると私たちは考えます。インターネットは市民の生活にとって必要な道具であるだけでなく、今や世界の平和を構築する重要な手段です。私たちはインターネット社会を監視する通信履歴のリアルタイム盗聴に強く反対し、これの撤回を求めます。