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【資料】 共謀罪に反対する声明・意見書

 
■共謀罪(謀議罪)の新設に反対する声明 第二東京弁護士会 2003年3月27日
     

 

会長声明

共謀罪(謀議罪)の新設に反対する声明

2003年(平成15年)3月27日
第二東京弁護士会 会長 井元 義久

1.政府は、本年3月11日、「犯罪の国際化及び組織化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」を閣議決定し、今期の通常国会に上程しようとしている。この法律案の中に、「共謀罪」又は「謀議罪」と呼ばれる新たな犯罪を新設する規定がおかれている。
  共謀罪(謀議罪)は、長期4年以上10年以下の刑を定める犯罪について、団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀した者を2年以下懲役又は禁錮の刑に処すものとし、死刑又は無期若しくは長期10年を超える刑を定める犯罪についての共謀には、5年以下懲役又は禁錮との加重規定も設けられている。
2. 我が国においては、判例によって共謀共同正犯理論がとられ、共謀者の一部が犯罪の実行に着手した場合、他の共謀者も罪責を負うこととされている。共謀共同正犯理論自体については、学説上異論もあるが、それでも、この理論においては、実行の着手が犯罪成立の絶対要件とされている。
  しかし、今回の法律案において新設されようとしている共謀罪は、犯罪の実行着手前の共謀それ自体を処罰の対象としている。共謀と認められるものがあれば、犯罪の実行着手に至らなくても独立して犯罪となるのである。これは、「共謀」すなわち合意の成立という主観的な事実だけで、実行の着手等の客観的事実が全くなくても犯罪とするという点において、近代刑法の基本原理である客観主義を否定するものであり、また、犯罪の構成要件が広汎かつ不明確である点において、罪刑法定主義に反し、刑法の人権保障機能を破壊しかねないものである。
  しかも、その適用対象においては、犯罪の種類の限定がなく、長期4年以上の刑を定める犯罪について、そのすべてにわたって共謀罪を新設したものとなっている。いわば、刑法そのものを大改訂するに等しいものである。
3. 本法律案は、2000年12月に国連総会で採択され、日本政府が署名した「越境組織犯罪防止条約」(以下「条約」と略称する。)の国内法化のための立法であるとされている。しかし、この法律案は、条約が要請している「組織犯罪集団が関与したもの」という限定を取り外し、また、条約がその精神において求めている犯罪の「越境性」も必要でないとしており、共謀罪の適用範囲を、国内の一般犯罪であり、組織犯罪集団が関与しないものにまで拡大して、「一般的共謀罪」の新設を提案しているものとなっている。
4. 以上のとおり、本法律案の「共謀罪」新設規定は、条約の要求する範囲をはるかに超えて、刑法の基本原理を根本的に転換する「共謀罪」を広範に新設するものであり、かつ、その構成要件の明確性を欠くものである。このような立法がなされることは、人権保障上極めて危険な憂慮すべき事態が生じるおそれが極めて高いので、当会は、共謀罪の新設に反対する。